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『七緒のために』島本理生さん

 
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島本理生さんの新刊『七緒のために』は、
主人公雪子が七緒から手紙を受け取るところから始まります。
七緒と雪子は喧嘩してしばらく口をきいていなかったので、
突然の手紙に驚くが、手紙の上半分が切り取られている。

「私たちの関係について上半分に書いたけれど、雪子ちゃんはきっとショックを受けそうだから捨てました」


ああ、そうだったなあ、と。
小学校高学年から中学生のころは、口をきかないくらい喧嘩をした友だちと
ひょいっと、また距離を戻せたりできた。
高校生になったらもう無理だったような気もする。
大人になったら、手紙を送ることも、書き捨てた半分の存在のことを知らせることもしない。

電車の発車ベルが鳴って、
今、走り出して飛び込んだら間に合うかもしれないのに
エレベーターを歩くこともせず、扉が閉まっていくのを黙って見送る。

いま駆け寄ったら、元の関係に戻れるかもしれない。
警報に気づいていながら見過ごして
見過ごしたからには、さっさと扉が閉まってしまえばいいのに、とさえ思う。

そうやって、私もいくつか、関係の扉が閉まって去って行くのを
冷たく見送ってきた気もする。


何ごともなかったかのように次の電車にゆっくり乗って、快適に過ごしている風に。







評価:
島本 理生
講談社
¥ 1,365
(2012-10-31)

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