「感情の発露」が無償労働として強制されている?

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すっかりぽっかりとご無沙汰でした。

 

今年のGWごろからミモレの編集部ブログの方で本の紹介を始めたら、あちらのアップで手一杯(というか書き分ける意味もないかと思ってしまい)こちらを放置していました(汗)

 

 

 

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こちらのブログは、好きで書き始めていたはずなのですが、アウトプットする場が多くなると、

「発信し続ける」ってなかなか消耗する

(身を削られる)ことであるなあと。アンパンマンのように、自分の一部を切って差し出す感がゼロではない、ですねえ。

 

 

女優さんとかアイドルとか、作家さんとかお仕事自体が発信型の人は、さらにプライベートもオフィシャルもなくSNS等で発信を求められる(自発的な場合もあるでしょうが、だんだん義務になる)のは、本当に大変なことだなあと思います。

 

 

もともと持っている自分(アンパン部分)が大きくないとあっというまに消耗してなくなっちゃいそうです。

 

 

私などは素人だから「いつも楽しみにしてます」とか「ファンです」なんてコメントをいただくと嬉しくて舞い上がって、また次、また次を期待に応えようとしてしまうのですが、それでも時々、何のためにこんなに露出して発信しているんだっけ?とバランスを失ってしまうことがあります。

 

 

そんなモヤモヤした悩みとも言えない(悩んでいるなんて言っては贅沢だ!)な疑問を抱えていたところ、いい本に出会いました。

 

 

大塚英志さんの『感情化する社会』。

 

 

文章が小難しくて、久々に大学受験の現国の試験を思い出したよ、って感じなのですが(汗)。

 

 

興味深かったのが

 

 

「感情の発露そのものが『見えない労働』として企業ないしは社会システムに搾取され、言うなれば人は充足しながら疎外されていくという『新しい労働問題』の所在である」

 

 

という指摘です。

 

 

例えば「食べログ」のレビューなんかもユーザーによる「無償労働」が「コンテンツ」として企業に搾取されている(書いた人にはお金は入らないけど、それによって運営側は広告収入を得ている)わけですね。

 

 

そんな風にユーザーの無償労働ありきのWEBコンテンツやアプリはたくさんあるわけで、「自己表現」の欲を満たす人はお金儲けは考えない(べき)という風潮があるおかげで、プラットフォームを提供したもの勝ちですね。

 

 

この本の中に、

 

「人は『日々の行動そのものをコンテンツ化させられていること』こそ気がつかなくてはいけない。」

 

 

とあって、本当にそうだな、と怖くなりました。

 

 

 

「こういった『自己表出』させられる環境のなかで、しかし、考えてみればたいていの場合、人は自己表出すべきものを持たない」

 

とはその通りで、自己表出すべきもの(アンパン)がほとんどないのに、WEB上に「感情の発露」常に求められる。

 

 

と、「炎上」や「○○叩き」あるいは「泣ける」「悲報」などの直接的な感情の吐露になりやすい、というわけだ。

 

 

たしかに、今の私は仕事上の発信ではあまり直接的な感情は吐露しない。

 

 

「ファッション」は情報だけど、情報そのもだけでは価値が薄いと感じた場合、「感情の吐露」を足すと途端に情報性がアップする。

 

 

例えば「私の着ている服」だけでは情報の価値がないけれど、そこに「背が小さくて悩んでいる」という感情が付加されるといくらか情報性が上がる、と私は思っているわけです。

 

 

無償労働として強制されているわけではないけど、(会社からお金はいただいているし)新しい労働問題には違いない、と思うのでした。

 

 

久々に書いたら長くなってしまった!

 

また時々こちらに書きますが、本の紹介のほうは、ミモレの編集部ブログでお読みいただけたら嬉しいです。

 

 

評価:
大塚英志
太田出版
¥ 1,620
(2016-09-30)
Amazonランキング: 27748位

『パークアヴェニューの妻たち』

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今読んでいるのは、『パークアヴェニューの妻たち』。
NYの超高級住宅街に住む専業主婦たちの暮らしぶりを
自ら体験した社会学者が描くノンフィクションです。



NYのパークアヴェニューは、
高級住宅地のアッパー・イーストサイドの中でも最もステータスが高いと言われている地域。
私は、NYにそれほど詳しいわけでもないのですが、
アメドラが大好き♡なもんで、地名にときめきます。
「gissipgirl(ゴシップガール)」はアッパー・イーストサイドのハイスクールが舞台だし、
「Sex and the City」でもシャーロットもキャリーも
「結婚してアッパー・イーストサイド(中でもパークアヴェニュー)に住みたい」
ということが象徴的に描かれていますね。

そんなパークアヴェニューで暮らす専業主婦たちの実態に迫る、
なんてちょっと意地の悪いルポルタージュみたいですが、
著者である社会学者の女性が、子供を評判のいい公立学校の近くで育てたいと
ダウンタウンからアッパーイーストサイドへ引っ越すことから始まります。

「女王バチ」タイプのママによるいじめや、
ランチ会での生活レベル審査、
バーキンを持ってないと仲間に入れないバッグ検定、
コートの襟をいきなり後ろからひっくり返されて、タグを覗かれ「安物ね」と言われたとか、
まあ、日本の高級住宅コミュニティではなくはないなというエピソードたち。
(編集部でもあるかも?)

とはいえ、セレブぶりが桁外れなので、
”場違い”で”気まずい”思いを繰り返す著者がかわいそうだなと思いつつ、
ここまでくるとちょっと笑ってしまう。

著者は自分を観察者という客観的な立場に置くことで
仲間はずれの精神的な苦痛から逃れ、冷静さを保とうとします。

でもこの本の面白いところは、子供という"人質"がある以上、
著者もずっとただの観察者ではいられず、
いつの間にかこの世界のルールに染まっていくところです。
徐々に傲慢さや虚栄心が顔を出します。
そこが、この本がただの悪趣味な暴露本で終わってないところなのかも。
そのあたりの分析は、巻末の訳者のあとがきが素晴らしいので是非読んでから本編をお読みください。
訳者は『プラダを着た悪魔』や『レベッカのお買いもの日記』シリーズを翻訳している佐竹史子さん。

著者の専攻のひとつが霊長類学であったようで、
チンパンジーや猿の群れとの比較がちょこちょこ出てくるんですね。

少し前に私、高崎の猿山に遊びに行ったのですが、
そこの飼育員の人が、キーキーと取っ組みあいの喧嘩をしている2匹の猿を指差して「あれは絶対メス猿」と。
「オス猿は徹底的な年功序列社会なので、
年上のエサには手を出さないのですが、
メス猿はルールがないので小さな諍いを繰り返すのです」と。

人も同じでしょ、なんて失礼なことは言わなかったけれど、
徹底した年功序列じゃないからこそ、
いろんな独自の序列を作ってマウンティングを繰り返すのかもしれませんね。

となんだか話が逸れてしまいましたが、
『パークアヴェニューの妻たち』、GWのゆるい昼下がりに是非オススメです。


 
評価:
ウェンズデー・マーティン
講談社
¥ 1,728
(2016-04-15)
Amazonランキング: 36775位

得るものがある

今年はマメにブログを書こうと思ったのに、
すごくまた間があいてしまいました。

マンガ編は絶対書こう。
あと、GWにお時間持て余した方へオススメな本と映画も書きたいな、と思ってるのです。

最近は、立て続けにお芝居を観ました。

昨日観たのは、中谷美紀の「猟銃」。


美しすぎた。

少女の役から
ドレスの女へ、
最後はお着物と、
1人三役こなすのですが、
とにかく中谷美紀の綺麗さの多面性を
全部の角度から見させられた、
という感じであります。

美しさが狂気を孕んでいる。

井上靖の原作も読んでみようと思いました。

もうひとつはシスカンパニーの「アルカディア」。

世の中の現象はすべて数式に表せるか、という哲学的な、理系的な話がえんえんと出てきて、
途中意識を失いかけるものの、
ぜんぶ理解できてなくても
なんとなくはつながって、
あれはこれの暗喩だったのか、、、?
とか、いや必ずしも意味のある伏線でもないのかもしれない、と思ったり。

ぜんぶ意味がわからなくても
物語は面白い、ということを実感した劇でした。

伏線をぜんぶ回収するタイプの映画やアメドラばっかり最近見てたんで、
ついつい、これはあとでなにか意味が??と思っちゃうんだけど、
登場人物のセリフがすべてストーリーを展開させるものになってない、
ムダな脱線、(ムダじゃないんだけど)
それはいいから早く先に進んでよってこちらは思うからムダに見えちゃうけど、
そのどこに行きつくかわかんなさが
お芝居の醍醐味だな〜と思いました。


なんだか、最近、仕事では
わかりやすさとか、
すぐに役立つとわかること、
実用性、
汎用性、
などばかり考えていて。

よく理解もできないし、
なんにも役立ちもしない、
なんなら、あとになにも残らないけど、
なんとなく良かったな〜
てことに飢えているのかもしれません。

ぜんぶ意味がわからなくてもいい、
意味なんかなくてもいい、
ってなんかとてもウキウキと楽しいことだな〜。


1位は! riezoベストブック2015【小説編】

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随分と引っ張ってしまいました。

1位はこちらのピエール・ルメートルの「悲しみのイレーヌ」



をあげたいのですが、その前に読んだ「その女アレックス」、そして、さかのぼって読んだ「死のドレスを花嫁に」の3作まとめて”ピエール・ルメートルの恐怖”を2015年の読書体験トップに選びたいと思います。



「その女アレックス」は、文春はじめ、このミス、インポケなどなど各社のミステリー大賞史上初の6冠達成だそうで、もう読まれた方も多いかもしれません。まだ未読でしたら是非「その女アレックス」から! 翻訳モノが苦手な人でも騙されたと思って860円。怖いものが苦手な方には無理強いしませんが・・・。

「その女アレックス」も「悲しみのイレーヌ」もすごいのは、登場人物の誰にも共感も感情移入もできないところなんです。

前回「ファイナルガール」の紹介記事で「ホラーとは女の人が追い詰められるところに醍醐味がある」と書きました。

その女アレックスは、主人公(と思われる)女性が監禁されているところから始まります。

同性である読み手の私は、どうにか逃げおうせられますように!と祈りなが読みますよねえ。
でも、だんだん、おや? こいつを応援していていいのかな?と。
さらに読み進めると・・・ちょっと、ちょっと、この女(アマ)まじか!と。

「悲しみのイレーヌ」は残虐さがさらに増していて、唇をですね爪切りで・・・きゃーのきゃーのピーーーーーーです。
あー、もうだめだ、思い出しただけで悪夢見そうですもん。

新年早々読むものでもないかもですが、気分転換に是非どうぞ。。

本年も脳の揺さぶられるような本との出会いがたくさんありますように!
みなさまも楽しい一年になりますようお祈りしています!


 
評価:
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文藝春秋
¥ 929
(2015-10-09)
Amazonランキング: 1026位

評価:
ピエール ルメートル
文藝春秋
¥ 929
(2014-09-02)
Amazonランキング: 409位

評価:
ピエール ルメートル
文藝春秋
¥ 853
(2015-04-10)
Amazonランキング: 4161位

riezoベストブック2015【小説編】4位〜

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あけましておめでとうございます!

年末は紅白を、年明けは箱根駅伝をテレビにかじりつきで堪能しました。
いやー、青学圧倒的でしたね。
数年前までは考えられなかった1区から10区までトップを一度も譲らずの完全優勝。
あまり悲壮感が抑圧感がないのがいいですよね。


さて、こちらはランキングを発表しきれずに年を越してしまいました。
ルーズにすみません。

4位はこちら



湊かなえさんの「ユートピア」。

年末に読み終えたばかりです。

あるよね〜、地方にこういうファンシーな焼きモノとかドライフラワーのお店。
そして、ちょっとした慈善事業がらみの。
そのなんかちょっと押し付けがましくて好きじゃないなと感じるんだけど、そうは言いにくい感じとか、気持ち悪さすべてを、帯の「善意は悪意より恐ろしい。」という言葉がピタリと言い表してくれています。

最初から最後まで気持ちが悪い感じの小説です。

3位は



久坂部羊さんの「無痛」をあげます。

西島秀俊と伊藤英明のドラマは期待が高かった分、イマイチだったのです。
原作からアレンジされた部分があまり良い方向にきいてなかった気がしますね。

医療モノのミステリーがもともと好きなので、久坂部羊さんという新しい要チェック作家さんが増えたことが喜ばしく、3位としました!

同じく久坂部さんの医療モノ「破裂」もNHKでドラマ化されていましたが、こちらも権力争いの悪者(魅力あるおじさん)ばかりが出てきてグイグイいけます。

新しい渡辺淳一になる気が(エロティックさはカケラもないですし、女性の描き方があっさりしてますが)、最新作も期待してます!


さて2位は、



柚木麻子さんの「ナイルパーチの女子会」。

これは3月くらいの刊行だったかな、読んだ時点で、「よし!これが今年のベストブックだな」と思ったくらいです。

柚木麻子さんの本は、「終点のあの子」以来、「ランチのアッコちゃん」「あまからカルテット」「本屋さんのダイアナ」とサクサクと面白く読めたけどあまり好みではない感じだったのです。
「けむたい後輩」「私にふさわしいホテル」は毒っ気がある感じが好きで
(こうしてみると私、柚木麻子さんけっこう買ってるなあ)
「ナイルパーチ〜」はもう毒っ気100%! 超好みっす(´・Д・)」

角田光代さんとも桐野夏生さんとも違う女の角質、じゃなかった、確執、ね。書かせたら柚木麻子はやるよ。やれる子よ。
なんて呼び捨てにしちゃったわ、っていまプロフィール見たら、歳下でした!
ショーゲキ!
しかも立教の後輩じゃないですか。
第一食堂の前の藤棚の下ですれ違ってるわね!
柚木、これからも買うわ!

と、興奮したところで、この本の解説は、ミモレで詳しく書いたのでよかったらご一読ください。


「女友だちがテーマのおすすめの小説」

1位に、はいる前にちと長くなりすぎてしまったので、いったん休憩にはいります。

チャンネルはそのままで!






 
評価:
湊 かなえ
集英社
¥ 1,512
(2015-11-26)

評価:
久坂部 羊
幻冬舎
¥ 905
(2008-09)

評価:
柚木 麻子
文藝春秋
¥ 1,620
(2015-03-28)

riezoベストブック2015【小説編】7位〜


さ、サクサクいきましょう。年があけちゃう!

7位はこちら!



山内マリコさんの『かわいい結婚』

結婚はかわいくない。付き合ってる2人のほうがかわいい。

今年、弟が結婚したのですが、姉と違って盛大な結婚式をやってくれまして、
「結婚式なんて社会人のやることじゃねぇ」って弟が言ってたのが印象に残ってます。

そのくらい打ち合わせ、打ち合わせ、決めること、決めること、で時間が取られるのね。
でもやっぱり若いお嫁さんはとびきりかわいかった。

弟よ、よくやった。このプライオリティの高い一大プロジェクトをパッションを失わず
高いコミットメントをキープしてコンプリートできたならば
これから外資でどんな困難なミッションもこなしていけるでしょうよ。

「かわいい結婚」は結婚のかわいくない現実が書かれていますが、
同時収録されている、朝起きたら女になってた男の人を描いた「悪夢じゃなかった?」のほうが私はお気に入りです。

でも、とにかくこの装丁が素晴らしいですね。
かわいいものは文句なくかわいい。
手に入れたいと思うグッズ感がいい。

6位はこちら! 朝井リョウさんの「武道館」



「別冊文藝春秋」連載時から楽しみに読んでいました。

正直、文芸誌まで網羅するほど読めてはいないこの頃だけど、
これは本当にこの連載の続きが読みたくて「別冊文藝春秋」を買うっていう
あたしあらまほしき読者だわ、っていう、ね。

これはアイドル業界を描いた半沢直樹、池井戸潤的なものだ。
(すでにドラマ化も決まっているらしい)

アイドル業界のいまはネット社会と切っても切り離せない。
ウドウロクを紹介した「ほどほどの美貌」でも書きましたが、
ネットのコメントって本当にキツイことをいうよね。

ファンであればあるほど、裏切られたとかそういう思い入れの裏返しなのかもしれないけど。
ネットのコメント講座を(道徳と国語と同じくらい)小学校から授業でやったほうがいいと思う。

話が逸れました。

そう、それで5位。



藤野千織さんの『ファイナルガール』。

ファイナルガールって言葉をFRaUの編集会議ではじめて知ったのですが、
ホラー映画とかで最後まで生き残る女の人のことです。

なぜ、ファイナルガールはあるけど、ファイナルボーイはないのか。

美しい女の人が殺されちゃうかもっていうドキドキのほうが、
男の人のサバイバルより盛り上がるからだと思う。

少し前に、
「女性はみんなバイセクシャルかレズビアン。ストレートなんていない!」 全世界が驚愕中の最新研究
っていう記事が出ていて、私はすごく納得がいったのですね。
ストレートな男性は女の人の裸の写真にしか反応しないけど
女性は女性の裸の写真にも反応するという。
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女性誌なんかはまさに、女が本能的にもつ美しい女の人の写真への性欲で成り立ってるんじゃないかと。
それについてはもっと語りたいけどやめときます。

んで、ホラーもやっぱり性欲と近い本能的な脳の反応によるところが大きいから、
美しい女の人が追い詰められればられるほど興奮する、っていうのは
男女ともにあると思う。

ファイナルガールになりたいか?

うーん、私たぶん逃げ道の提案とかしてみたものの
早めのタイミングで殺されるタイプだなぁ。

というわけで、4位からトップ発表まで次回に続けます!




 
評価:
藤野 可織
扶桑社
¥ 1,512
(2014-03-21)

評価:
朝井 リョウ
文藝春秋
¥ 1,404
(2015-04-24)

評価:
山内 マリコ
講談社
¥ 1,620
(2015-04-10)

riezoベストブック2015【小説編】10位〜

JUGEMテーマ:オススメの本

今年読んだ小説を思い返すにあたって、
印象深いのがFRaUで担当した「母と娘」の特集のことです。

母と娘がテーマの小説・漫画・映画を紹介する企画で、
たしか1ヶ月くらいの間に30冊くらい読みました。


書店で手に取る作家さんは決まってきてしまってます。
こういう機会で他の人が推薦した本を(半強制的に)読むとすごくいっぱい発見がありました。

この機会がなかったら、多分絶対手に取らなかったであろうからとても印象に残っているのが
レーナ・ヘレトライネンの『氷の娘 (創元推理文庫)』です。



私、翻訳モノにそんなに詳しくないうえに、これはフィンランド原作。
多分自力では絶対辿り着かなかった。こちらをまずは10位に。

表紙にあるようにフィギュアスケートが舞台のミステリー小説です。

翻訳ミステリーに詳しいライターakira♪さんにご紹介いただきました。
(akira♪さんは『柳下毅一郎の皆殺し映画通信』でスットコ映画レビューを書かれています)



『皆殺し映画通信』もめちゃめちゃツボな本でした。ノンフィクション編のランキングに入れるべしだったー。

話が逸れましたが、『氷の娘』はですね、
フィギュア界の若手のホープと期待される少女が無残な死体となって発見されるところから始まります。
北欧にとってのフィギュアがどんな地位か、フィギュア界の裏側、ライバル争い、そして、ステージママとしての母親の思い入れたるや……。

ね、フィンランド文学に興味がなくても面白そうでしょ。

こちらフィンランドの人気警察小説シリーズだそう。
主人公は女性警部でしかもこの巻では妊婦。
ドクター・ケイ・スカーペッタ検屍官シリーズとかそんな感じでしょうか。
残念ながら日本語に翻訳されている作品が少ないのですが、他のももっと読みたい作家さんです。

母娘特集絡みで続けて9位、8位といきます。



湊かなえさんの『母性』。

この本に関するなにかのインタビューで、湊かなえさん自身が語っていたのですが、
「母性というのは女の人は全員にもともとあるわけではなくて、そして子供ができたからといってみんな自然とわいてくるものでもなくて、母性があるタイプの人とないタイプの人がいる」と。
言い回しはうろ覚えなのですが、この後の話が面白くて、女の人には2種類あって「母」になる人とずっと「娘」でいたい人。母になってもずっと娘でいたいタイプの女性に育てられた女の子はどう育つのか、を描きたかったとか。

私、これを読んですごく腑に落ちたんですよね。
私の母はまさに一生娘タイプの女性なんです。
私が母性タイプかどうかはちょっとわからないけど、
母との関係性は私のアキレス腱。いつも不安を抱えています。
長女の立ち位置がずっと難しくて悩んでいたから、
あぁ、あの人は一生娘なんだ、と思えたら、気持ちが軽くなりました。

本の方はあまり気持ちが軽くなれる話ではありませんが。一気に読めるグイグイ系です。

そして8位に窪美澄さんの『アニバーサリー』を。

窪美澄さんの『水やりはいつも深夜だけど』を昨年のベストブックに選んでいまして、DTK入りしていましたね。
(DTK入りとは、出たらとりあえず買う、のゾーンってことです)

水やりは〜よりアニバーサリーは前に出ていた作品でした。
戦争、終戦、震災と…昭和と平成の厳しい時代を生きた「母」が描かれます。

窪美澄さんの作品は、痛いことをこんなによく剥き出しに書けるなぁと思います。
窪美澄さんもどこかのインタビューで”「こんなこと言っちゃいけない」と思うようなことをなるべく書くようにしています”というようなことを言っておられた。

読んでてつらいんだけど、なんかもっと傷口を開きたくなるような。
ページをくるのをやめられないんですね。

アニバーサリーはもう文庫化されているみたい。

さてさて、このペースだと年内にNo.1までたどり着けるか心配になってきた´д` ;
ひゃー。
 
評価:
レーナ・レヘトライネン
東京創元社
¥ 1,296
(2013-09-11)

評価:
湊 かなえ
新潮社
¥ 637
(2015-06-26)

riezoベストブック2015【ノンフィクション編】

JUGEMテーマ:オススメの本

お待ちかね! 年末恒例のriezoベストブック発表のシーズンがやってきましたよ。
(誰も待ってない、じぶんも含め100パー忘れてたけど)
毎年細々と続けているので、
いつか「本の帯に入れてもいいですか」というオファーが来る日を夢見て・・・
今年も勝手に発表しまする!

先にちょっと言い訳しますと、
今年はあまり単行本の新刊を読めておらず・・・
いつもは厳密にその年に刊行になった本から選んでるんですが、
今年は、「今年買った本」の中から選定することにしました。

ま、まずはノンフィクション部門の5位から。
井川直子さんの『シェフを「つづける」ということ』。



シェフになることを夢見てイタリアに渡った
若い料理人(見習い)15人のその後10年を追ったノンフィクション。
こちらは前作『イタリアに行ってコックになる』とセットで読みました。

今年の3月にイタリアに新婚旅行に行きまして、
すっかりイタリアにかぶれたわたくし。
あっちのレストランで日本人が結構働いていたんですね。
イタリアンってフレンチより日本人にとって身近だし、
日本的な感性を生かして人気店に…なんて浅はかな私の予測を吹っ飛ばし、
まあ、本当に現実は厳しいんだなあ、ということがひたすら書かれている本です。
(「前の彼がコックだったから買ったの?」と知っている人は勘ぐるでしょうが、まさにその通り。随所で心の古傷の痛む本でした)

料理人に限らず、フリーランスとして
自分の才能一本「夢を信じて」とにかく「つづける」こと
の精神的、そして何より金銭的な厳しさたるや。
会社員は信じなくても「つづけ」られます。

そういう意味で「信じて」「つづける」ってすごいの一言に尽きる、
こちらを4位に入れたい。どーしても入れる!


Perfume 「Fan Service[TV Bros.]」 (TOKYO NEWS MOOK 498号)  

この本の素晴らしい箇所について語ると長くなるので割愛します。

3位は、『のめりこませる技術ー誰が物語を操るのか』。

これは翻訳ものですが、日本語のタイトルが秀逸だと思う。
(写真のジェーン・スーさんの「相談は踊る」と
宇多丸さんの「ウィークエンドシャッフル”神回”」もすごく面白かった!)

みんながのめり込むもの(ゲーム、映画、アニメなどなど)の
クリエーターへのインタビューと分析で構成されています。
Perfumeとかもまさにそうだけど、
どうして多くの人をのめりこませることができるのか。
答えは出てこないんだけど、エンターテイメントが
いっときのブームから、誰かの人生さえのっとってしまったりする
その過程とその作り手側の心境の変化などを知るのはとても面白い。


ランキングにこれらを入れるのはPerfume以上に気恥ずかしくて迷ったのですが、
個人的な利害や思い入れを差し引いたとしても
私のこれからの人生にとてもためになることがたくさん書かれている本でした。
まとめて2位に。


大草直子さんの『「明日の服」に迷うあなたへ』『 大草直子のStyling Book (美人開花シリーズ)』『 私のたしなみ100』。

近しい人はご存知のとおり、私の新しいボスであり、
これからの私の思考の多分何十パーセントか占めることになるであろう人のことを
以前から知っているようでいて実はあまりよく知らないなーと気付きまして。

「彼を知り己を知れば百戦なんとか」…って、
敵を知らねばなんとやら(敵じゃないけど)、
席を新編集部に移したその日にAmazonでまとめてポチったのでした(なんて付け焼刃!)

果たして百戦に臨めるようになったかどうかわからないけど、
読んでいると、今までの自分を肯定されているような、
これから大人(もうアタシ大人だけど)としてそのまま歳を重ねても大丈夫かもと
前向きな気持ちになれる言葉が随所にありました。
(照れくさいからどことは言わんとこ)


2015年のノンフィクション1位は、
先日のブログで書いたばかりですが有働由美子さんの『ウドウロク』を選びたいと思います。


読んだタイミングのせいもあったかと思うのですが
なんだかあちこちで涙してしまいました。

こんなに仕事が充実していて、名声も地位もお金もあって、
それでもやっぱり結婚と子供についてはビハインドを感じてしまう。

本の中で「選択してきた道は間違ってなかった」って何度も書いてあるんだけど
結婚・子供のくだりは気持ちが行ったり来たりしてるんですよね。

私は結婚はして子供は(今はいないけど)持つ可能性はないわけではないけど、
なんかやっぱり「選択しなかった道がある女性」に共感するところがあって。
そういう人が「のめりこめる」何かをいつか作れたらいいなあ
と思ったのがこの1年でした。

あれなんだかちょっと湿っぽくなってしまった!

次は小説編をー。迷うなあ。
今年は新しい漫画を結構読んだので、余力があれば漫画編も選びたいなと思います。



 

ほどほどの美貌


「さりげないほどほどの美貌」
とは有働由美子さんのことを年配の視聴者の方が評していった言葉だそうです。

言い得て妙だなぁ。

有働由美子さんのエッセイ『ウドウロク』を遅ればせながら読みました。



あさイチの有働由美子さんの絶妙な立ち位置がどう作られているのか、
紅白の舞台裏なども知れて、
女性のキャリア本としてもビジネス書としても、
エンタメ性も程よくあって
とても充実した良本でした。

しかし、読んですごくわかったのは、
視聴者の人って本当にいろんなことを言ってくるだなぁ、ということ。

有名税とかってね。
有名になれば賛否両論あって当然。
矢面に立たされるのもしょうがない。

とかいうレベルじゃないと思う。

そんなこと言ったらその人がどんなに傷つくか、
どんな毒舌だろうと役回りだろうと、
その人も血の通った人間で、
ひとり家でそのコメントを思い出して涙することもあるかもしれない、
という想像しないのか。
むしろ傷つけてやりたい、というサディスティックな欲望なのでしょうか。

特に、ネットのコメントかなあ。

私もネットの仕事をしているので
いろいろ見るけど、
そりゃ突っ込みどころや言われる側の不備もあるかもしれないけど、
そんなヒドイ言い方しなくても…と思うことが多々あります。

冒頭の言葉は、まだ愛があるけれど、
有働由美子さんも

「まったく、視聴者って、気楽に鋭利な言葉を送ってくる……」

って書いてましたが。

まあ有働さんはもうそいうのも含めてありがたい、と
どう捉えることもできる、と
蓄積による処世術も書かれてました。

「リスク軽減のための工夫はする」という言葉に重みを感じます。


「嫌われていい、なんて、嘘だ」
という章がこの本の最後にきているのが、この本の言いたかったことを象徴してるのかなと思いました。
 
評価:
有働 由美子
新潮社
¥ 1,404
(2014-10-30)

言わなくてもいいかなということを言う


様子を見る、という言葉が好きです。

とりあえず様子を見ましょう。

私はなにを始めるにしても様子を見たい。
そうかそうか、こういうことか、と納得がいってから取り掛かりたい、というのもあるし、
スロースターターな言い訳でもある。
じゃあ、様子が見えたらダッシュできるのかというとそうでも、ない。

でも、最近の環境の変化のなかで変えてみたことがひとつ。
様子を見ないで言ってみること。
様子が見えてないから言えることもある。



あとであとで、と思っていると言えなくなることも多いですよね。

フライドポテトへの欲求は抑えられないのに。


言わなくてよかったことより、
言ったほうがよかったかなと思う後悔のほうがずっと引きずる。